|
|
|
ん〜〜〜……だるいよぉ。 くるひぃ……よぉぉ。
ねつであたまがぐるぐるぐるぐるするよぉぉ〜〜。 「ヤッホー風邪引きさん! 栄養のつくもの持ってきたわよ!!」 ん……あれ? 咲耶ねぇ…何持ってきてるの? 「何って…これ、衛ちゃんのために作っておいた特製のお粥じゃないの。これがスターフルーツに見える?」 ……ん〜〜ん、見えない。それ、咲耶ねぇが作ったの? 「そうよ。お兄様にやらせると、風邪が悪化しそうなくらい辛く作ってしまいそうだったから」 そー言えばボク、おなかすいていたし風邪引いていたんだ……あれ? 何で風邪引いちゃったんだろう? 「あのね……もしかして夕べ何が起こったか覚えてないの?」 ……うん。
ボクの一言に呆れながら咲耶ねぇはおかゆをベッドの前のテーブルに置いて、夕べ起きた事を
……咲耶ねぇがいうには、部活から帰ってきて疲れに疲れてお風呂に入ったのはいいけど、いつまでも 「あの時いたので…第一発見者の私と、お兄様と……」 あ…あにぃ!? もしあにぃがボクの裸を見て……そう思うとボクの頭は完全にパニック状態になった。 「あれ? 衛ちゃん…お〜〜〜い、どーかしましたかぁ? …すぅぅぅ〜〜〜」 「わ!!!!」 ――びくぅ!! あわわわわわ……! ……あれ? ボク、どーしてたの? 咲耶ねぇ。 「あんたねぇ……それははこっちの台詞よ。話している途中でいきなり放心しちゃうんだから…」 ……ご、ごめん咲耶ねぇ。 「確か…何処まで話したっけ…そうそう。ここまで運んできたのは私とメカ鈴凛だから…少しは感謝してね」 ……あれ? あにぃじゃなかったの?……ここまで運んできたのは。 「私以外の人がお兄様に運ばれるのはいやなのよ! 幾らお兄様の血を引いている可愛い妹だろうとね」 その一言を聞いてボクは、ほっとした反面、ちょっと残念そうに思った。 ……咲耶ねぇありがと。 「……ど、どうも…そ、そんな事よりも早くお粥食べないとさめちゃうじゃないの…」 なぜか咲耶ねぇは顔を赤くしながら、テーブルに置いたおかゆを手に持って、ボクにそれを食べさせた。 「それじゃ…衛ちゃん、口を大きく開けて……あ〜〜〜ん」 ……は、はずかしいよぉ。咲耶ねぇ…。と,口ではそうは言っても、実は体の節々と筋肉が痛くて満足に動けない。 「そういう風に強情張っていると…私が全部食べちゃおっかなぁ……」 そういって咲耶ねぇは自分で作ったおかゆを食べようとする。それを見てボクのおなかの虫が…… ――ぐぎゅるるるぅぅ〜〜 その音を聞いた咲耶ねぇは… 「ほらほら……口では意地張っているけど、こっちのほうは素直に反応してるじゃない」
そういってボクのおなかを触る咲耶ねぇ、連日のハードな部活による筋肉痛でちょっと痛かったけど、 咲耶ねぇの作ってくれたおかゆを食べさせてもらい、ボクは少し元気が出た。そこに…… ――KNOCK KNOCK 「衛…やっと起きたよーだな……」
と、寝ぼけたような顔でボクの大好きで…でも今、一番会いたくない…あにぃがボクの部屋にやってきた。 あにぃの顔を見たとき……ボクは、忘れたかったことを思い出してしまった。 「……あちゃあ〜。…衛のやつ、まだ『あの時』のこと、怒ってるのか?」 ……怒ってるよ!! 布団の中でボクは声を荒げた。 「ま…、衛ちゃん!! お兄様……『あの時』のって?」
あにぃと咲耶ねぇが話題にしている『あの時』……それは、この風邪と無関係じゃないんだ。ボクはおととい、 「……咲耶には関係ねぇよ!」 そう言い捨てて、あにぃは乱暴にドアを開け閉めして、ボクの部屋を出て行った。 「輝晃(テルアキ)お兄様! 何があったか教えたっていいじゃないの…もう!!」 咲耶ねぇがあにぃを名前で呼んだ…少し、本気で怒っているようだった。 「…まったく、輝晃お兄様ったら……衛ちゃん、『あの時』てお兄様と何があったの?」
ボクは疑問に思ったことを咲耶ねぇに聞いてみた。 「何?」 ……あにぃとケンカしたこと…あるの?
「お兄様と……そうね…。まだ四葉ちゃんがいなくて、あんたや鈴凛ちゃん、千影がこんなに小さくて、 ……どうしてケンカしたの?
「あの頃ね、お互いにいなくなった親に対して思い入れが強かったから…それが原因で何度もぶつかり
……そういえば、なんとなく思い出した。ボクが小さいころ、咲耶ねぇとあにぃが何かあるといつもケンカして
「何でそーゆー所覚えてんの…。でもね、何時の間にかお兄様のことを違う見方するようになった今でも、 ……なんで?
「互いに納得できないとき…互いに譲れないものがある時…そういう時には互いに腹を割って ……ボクは、咲耶ねぇが言いたい事が、なんとなくわかったよ……でも。 「でも……なに?」 ……あにぃ…まだ怒っているかも。 「ああもぉ……! どーしてそうやって悪く考えるわけ? お兄様のこと少しは信じたって良いじゃないの!! そこまで心が狭くないって……」 ……う、うん……。 ――KNOCK KNOCK 「衛…入るぞ……」
咲耶ねぇとそうこう言っている内に、再びあにぃがボクの部屋に入ってきた。再び訪れる沈黙の中、 その沈黙を、咲耶ねぇが破った。 「あのねぇ……何時まで何処ぞの恋愛サッカー漫画やっているのよ! 黙っているままじゃ何にも解決できないじゃない!!」 その一言にボクとあにぃは思わず…… 「「は……はい!!」」 と、びっくりした勢いで返事してしまった。 「それじゃ…ここからは第三者の介入ナシで大丈夫のようね…土鍋、洗ってくるわ」 そういって咲耶ねぇは土鍋とともに去っていって、また訪れた沈黙は、そんなに長く続かなかった。 「なぁ衛……一昨日はごめん。お前の大事にしてたタオル……間違えて捨ててしまって」 ……ボクだって悪かったって反省しているよ…あにぃが大事にしてた『魔獣-ジャバウォック-』のフィギュアを落として壊しちゃって……。 「「……本当にごめん」なさい」 再び同時に言葉を発していた……そして。 「衛…その代わりといっては何だけど……」 そういってあにぃはボクにリボンでくるんだ紙袋を手渡した。ボクは、その中身を見た……これって。 「確かさ……衛のあのタオル…数年くらい前にオレが渡したものだろ? それと同じやつ探したんだけど……」 ……でも、それとこれがどうして…。 「ふぅ……どーやら今日が何の日か忘れたようだな…衛、お前の誕生日だよ」 ……そーいえば! 「あのなぁ…幾ら何ぼなんでも……て、その原因作ったのオレだもんな。責任とってオレが看病するよ」 ……いいよ! そこまでやらなくても…。 「そーよ! 衛ちゃんの看病は私がやるんだから! 幾らお兄様でも、やらせはしないわ」 そこでいきなり咲耶ねぇが洗面器とタオルを手にして入ってきた。 「いーや! 咲耶、今回だけは譲るんだ!!」 負けじとあにぃは咲耶ねぇのそれをはばむ。 ……病人がいるのに、ケンカしないでよ二人とも! そして始まる二人のケンカは、皮肉にもボクの風邪をうつされることで終結した。
「へ〜〜〜ちょ!」 ……もぉ……あにぃも咲耶ねぇも病人(ボク)の前でケンカなんてするから…。 「すまない……オレも咲耶もついつい熱くなってしまって」 「そうね……お互いに共通の目的のためについつい…」 ……なんだかなぁ…。そう思いながらも、ボクのためにここまで必死になって思ってくれる二人に聞こえないように……。 『ありがとう。咲耶ねぇ…あにぃ……大好きだよ』 …と、つぶやいた。 ちょっとトゲついててドタバタとしてて余りいい誕生日じゃなかったけど、ボクは…… 今年の誕生日を忘れない。
〜END〜
〜執筆者あとがき〜
……ごめんなさ〜〜い!! 次回作書く時には精神バランスよくしてから書きまする。
|