Xmas pain(『mooPBeMのお部屋』)より


 このSSは……
1)mooPBeMに興味が無い人
2)moo系作品が嫌いな人
3)moo系は好きだけど二次創作(しかも、原作キャラは殆ど
 出てきていない)が嫌いな人
4)原作の設定に則っていないと嫌な人
5)このSSの主役PC『福士真弘』が嫌いな人
6)洒落にならないほど長いSSなんて読みたくない人
7)このSSの作者である『ほろふる!』が嫌いな人

 ……これらのうち,ひとつでも当てはまる人は読まないで下さい
ませ。これらの条件に一つも当てはまっていなければ是非とも
読んでやってください。

 雪が降りしきり、クリスマスムード一色のエンフヴィル。

 その街外れにある人気の無い墓場に、赤い番傘を差し、真っ黒なトレンチコートを着込んだ
男が新しく出来た墓に向かって話をしていた。

「…静……お前が居なくなって今日で六年目だ。オレは今もおまえの事を一時 たりとも忘れた事はない……
だから、お前もあの世に行ってもさ、オレが来るまで浮気すんじゃねぇゼ……」

 そう言って彼は、普段は吸わないタバコに火をつけた。
 彼の名は福士真弘。数ヶ月前にこの街にやってきて、何をするでもなく 過ごしていたのだが、眼の前に見える『静』の墓を見て、彼は……

「……静、お前を殺した『十字のアザを持つ魔族(やつら)』を、オレが絶対…
一人残らず…倒すから……そして、オレの首に刻み込まれたこの『爆弾』を 取り除いて……うっ……うぐっ……」

 その後に続く台詞は、涙とともにかすれていった……。

 ――がさがさ……

 物音と共に近付く並々ならぬ悪意、それを感じて険しくなる真弘の表情…。

「…誰だ!!」

 そこに現れたのは、顔に十字のアザがついた……魔族の男だった。

「久しいな…最後に会ったのは君の『ペット』を動けぬ君の眼前で切り刻んだ時以来だなぁ…」

 その言葉を聞いて怒りあらわにするも、勤めて平静を装う真弘。

「主犯格のお出ましか……本来なら八人すべてに逢いたかったが……貴様に…、
一番憎い奴が現れてくれたからな…順序は違うがてめーからぶっ殺してやるよ」

「ふっ……それは光栄だ。だが、私としては…廃人になった君に会いたかった けれどねぇ……」

 魔族の男の、傲岸不遜,かつ慇懃な態度の裏には、鞘に収まっていてもなお禍禍しい
雰囲気を持つ妖刀のそれを思わせた。
 ……互いのもつ『殺意』と『悪意』が限界までぶつかり合い,そして……はじけ散った。

 ……力の差は余りにも歴然としていた。
 真弘の放つ渾身の一撃が魔族の男に届く前に、『彼』の放つ『闇』の一撃は、
真弘の右腕と右脚、右の脇腹に噛み付いた。

「がはっ……!!」

 勢いを失い、前のめりに倒れる真弘。

「クックック…どうした、君の『ペット』の仇はまだ傷一つ付いてはいないぞ……そんなんで
飼主と呼べるのかね」

 聴こえるように、大きな声で挑発する魔族の男。彼の『ペット』という言葉に反応して、
真弘が刀を杖にして立ち上がった。

「てめぇぇ……『静』を…オレの女を……その汚ねぇ口で汚すんぢゃねぇ!!!!」

 怒りと共に、真弘の右目が眼前の魔族と同じ血の色に変わった。

「てめぇは…絶対……に…ぶっ殺して……やらぁー―――――!!!!」

 その叫び声と共に、怪我人とは思えない足取りで真弘は『静』を愚弄した男に向かって
牙をむいた。

「愚かな…貴様は誰に牙を剥けているんだ……?」

「オレの女を…幸せを…未来を…地獄の底に叩き落とした……最低最悪の…ゴミ野郎だぁ―――――!!」

 真弘が放ったその一撃は魔族の男の片腕に阻まれた……そして。


「……愚かだったな…自分の力量も弁(わきま)えずに牙を剥けるとは……」

 と、そこに、黒いフードを目深に被った男が現れた。

「『アグ・ナーヴォン』様、そろそろ、時間でございます…」

 と、言いながら『アグ・ナーヴォン』に血糊が付いた懐中時計の時間を見せる。

「そうか……、もうそんな時間か……久々に会ったというのに暇つぶしにしかならんとは……
幻滅した…。次に会うときは、足掻きに足掻いて、もっと我等を楽しませる事だな…」

 そういいながら、黒フードの男を引き連れて『アグ・ナーヴォン』は去っていった。

「……『アグ・ナーヴォン』か、その名前、この痛みと共に…刻ん…だ……」

 雪原に咲く、アネモネ畑の上で、真弘は気を失った。

 吹き荒れる街外れの中を歩く怪しげな二人組、そのうちの体格のいい方が立ち止まる。

「…グ……」

 うめき声を噛み殺す彼の足元には、数滴の赤い血とともに、右腕が落ちた。

「ア…アグ・ナーヴォン様…どうなされました!!?」

 主の異変に気付き、近寄る黒フード。

「フフ……何でもない」

「ですが……どう見ても…」

「腕が落ちた程度のこんな傷、『クロイツ』お前の手ににかかれば問題はない。そうだろ?」

「確かに…でも、このままでは……」

 そう言いながら主の右腕を付け直す黒フード――クロイツ――彼の右手には毒蛇が絡む
逆十字が刻まれていた。その作業を大人しく見守りながら……

「クロイツ…それよりも、嬉しいのだ……我等が『あのお方』にお仕えになってから幾星霜、
我等に立ち向かう者で、初めて私に手傷を負わせられたヤツがいるとわな……これで…
やっと、退屈せずにすむ……これでやっと次の段階に進むことが出来る…」

 主の右腕を元の状態にしたクロイツは…

「ははっ!! それでは……本国に戻りましょう…」

 ……そして彼らは、地面に残った血痕を残して『跳』んだ。

 〜断章 Past & Nightmare〜

(……夢を…見ていた)

 ………オレがまだちっちゃなガキだった頃……桜が満開のある晴れた昼下がりに…銀色の髪した…天使に出会った。

   19年前・公園の小山・春

『ンにゅぅ……ん。誰?……おねぇちゃん』

『……初めまして…これから、キミの家にお世話になる【苧環 静】(おだまき しず)…よろしくね!まーくん』

『しず……ちゃん? 頭にネコみたいな耳生えてるけどなんで?』

『ネコじゃないって! きつねだよ!!』

『きつね……? なんで?』

『だって、あたし、ライシアンだもん。尻尾もあるよ……』

『ほんとうだ! すっげーやわらか〜〜い』

『こらこらぁ! そんなに触っちゃだめだよぉ!!』

(………オレがはじめて静に会ったとき、大人しくて、可愛い娘だな…と、思った。
けど、最初の頃は、猫…じゃ、なかった。コギツネかぶってたんだよなぁ…)

   17年前・真弘の家・夏
 ……最初のころのあれが嘘だといわんばかりに,化けの皮が剥がれたように悪ガキ全開だったな…
『わ〜〜〜〜〜〜ん!! わ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん!!!! しづがボクの大事に
してた帽子に穴あけたぁ〜〜〜〜〜〜〜!!!!』

『…まー!アンタね、静ちゃんのお気に入りの服を汚したんでしょ!! これであいこじゃない!!!!』

『だってさだってさ…かーちゃん、アレってばしづが近所の男の子と遊んであーなったん
だよ……何で…』

『…たく……アンタねぇ…』

(………彼女絡みで何かあると、すぐオレが槍玉に挙げられたっけなぁ。 でも…どうしてオレ、
あいつの事が好きになっちまったんだろ?)

   13年前・真弘の家・秋

『まー−ぼー−! どうしたの?そんな所で……』

『……静には関係ねぇよ!!』

『……ふふぅ−−ん、もしかして、いっつも遊びにいってるフェブラリィの家のメイドさん
が、お嫁にいっちゃったからかなぁ……?』

『……うっさいなぁ! 静に何が解るんだよ!!』

『だって解るもん!! …あのメイドさんが好きになった人って……あたしの……すきだった
人だもん……あの人のこと…誰よりも…あのメイドさんよりも……いっぱい、いっぱい……すきだったんだよ!!
……ひっぐ、ひっぐ……』

『泣くなよ…静…オレまでまた…えぐ…えっぐ……』

『『わ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん!! わ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん!!!!!!』』

(………結局朝まで泣いて、二人してオヤジとおふくろたちに迷惑かけちまったな……。
あの後、互いの顔を見て、涙の跡と目の下のクマ見てゲラゲラ笑ってたな……それから……)

   13年前の寒終3日・真弘の家・冬(静の誕生日の夜)

『真弘、静ちゃん、折角の静ちゃんのお誕生日だけど、今日は母さんと龍真(リョウマ――真弘の兄)と共に
、 騎士団の定例会議があるから……遅くても明日の朝までには帰ってくるから……』

『『父(おとう)さん! 行ってらっしゃい!』』

『おとうさんたち、いっちゃったね』

『……うん。でも、静……本当にいいのか? 父さん達に黙って魔物退治なんて……』

『嫌ならいいんだよ! 一人でも行くから』

『そんな事言ってないって!! ……オレもいくよ!! 静一人行かせると危険だし…それに,一人で
いかせたらお父さんに怒られるからな…』

(この事件が、あいつに対する思いに気付いたんだ……)

   同年同日、森の中

『静! …逃げろ!! 【ライシアン狩り】が直ぐ其処まで来てる!』

『でも、まーぼー! このままじゃ……追いつかれちゃうよ!』

『ここはオレに任せて、あいつはたった一人でここにきてる。地の利の上ではこっちに分がある!!
早く、父さん達の所へ…早く!!』

『う……うん』

(だが、結局それは失敗に終った)

『ケケケケ…小僧、なめた真似し腐ってからにィ……』

(……そういいながら、うつ伏せになったオレの顔を踏み付けるライシアン狩りの男)

『くぅ……ちくしょう…』

『だが、てめぇを殺せば、あの銀髪のキツネは俺の物も同然だぁ……』

(……オレの近くには、【グラヴィティ・チェイン】で拘束された静の姿が見えた。舌なめずりしながら
オレに対してハチェットを上段に構えるライシアン狩り)

『クッ…カカカカカカ〜〜〜!! あの世で泣きごと言ってるんだなぁ…小僧!!』

(…殺される……!! そう思ったとき、やつの身体に向かって氷の弾丸が走った)

『水の守護者(ガーディアン)玄武よ…我が声に応えよ 我が思いを汝の氷刃に変え 我に害するものを
その牙で打ち抜け!! 【玄武氷鎗】(アイシクル・スピア)!!!!」』

『ごあばぁ!!……こ、…このキツネがぁ!!』

(……ハチェットの切っ先をオレから静に代えたライシアン狩り。それによって維持されていた
【グラヴィティ・チェイン】の効果が切れて、隙ができた)

『やめろぉぉ!! 静に……静に手を、出すんじゃねぇ−−−−−−−−−!!!!!!』

(……無我夢中だった。ヤツに静を傷つけたくないと思っていた)

(……オレは必死でヤツに対して手にした木の棒で戦意が喪失するほどにぶん殴った……)

『このクソガキがぁ……殺してやるぅ…ごろぢでやるぅ……!!』

(……ぼろぼろになってなお怒り狂うライシアン狩りに対しても、オレは恐怖も容赦もなく殴りつづけた……
大切なものを守りたい…ただ,その一心で)

『静、に…手を出すと……ゆるさ……ねぇ!!』

(……ヤツに対して止めの一撃を刺そうとすると、後ろから)

『そこまでだ!真弘!!!!』

(……聞きなれた声がそれを静止した)

『まー!お前がそばに居ながら、何故、静を外に出した……』

『ごめん、リョウ兄……』

(……殴られる!……そう思ったとき……オレの代わりに、誰かがぶっ飛ばされるのが聞こえた
……恐る恐る目を開ければ、ぶっ飛ばされたのは、『静』だった)

『『静!!』』

『……ゴメンナサイ…まーぼーをこんな目にあわせたのは、全部、あたしのせいなの。だから……
まーぼーは何も悪くないんだよ……リョウ兄ちゃん』

『……そうか。ごめん、まー…静。とにかく、かえってお誕生会にしような……』

『『うん』』

(そして、家路に急ぐ途中、オレは頬を腫らした静に声をかけた)

『静…まだ、ほっぺた…痛いの?』

『うん……でも……』

『でも?』

 ――KISS!!

『これで、直ったよ……まーぼー、ありがと。かっこよかったよ』

(……この、頃だな……これが『静』に対して気になっちまった原因…なんだな……でも……
これで,静の元に逝けるから……いいや…)

 〜終章 Endless Pain〜

 ここはクラウド医院。
 クリスマスだろうが正月だろうが嵐のど真ん中だろうが急患が出ればそんなものは返上するエンフヴィル
で忙しいところの一つである。どうやら、この医院で、また『あの馬鹿』が大怪我こさえてやってきた。

「全くこの男は……治しても治しても怪我をこさえてやってきおってからに……」

 滅多な事ではこんなことはいわないドクタークラウドも、この日ばかり言わざるを得なかった。

「ルシード、輸血用のO型の血液が足りない。献血に走ってくれないか…」

「あ、あぁ…」

 真っ赤になった真弘を見ずに、ディアーナがドクターに問う。

「あのぅ……あたしは……どうすれば……」

「一応、ルシードの邪魔にならないように大人しくしてろ」

「わ……わかりました…」

 叱られた仔犬のように大人しくそれに従うディアーナだった。

「……何とか血液は集ったようだな…これで、あとは……」

 そういいながら黙々とオペを始めるドクターであった。

 マサヒロの怪我の手術から一時間後……

「……今は、ギプス用の石膏が切らしてるから添木で何とかしてるが……さて、ルシード、
何故真弘が墓場にいたのか、その状況を説明してほしい」

「あぁ……何時もの様にパトロールしてる途中、墓場の方角でカラスたちが鳴いていたから、
そっちの方に行ったら、カラスに突っつかれながらこいつが血まみれで倒れていたんだ……」

「なるほど……で、次」

 事務的に冷たくカルテに書き込むドクター、淡々と前後関係を話すルシード。それから十分後……

「そういうわけか……に、してもこいつは何かにつけすぐこっちに入院するもんだから……この男は……」

「それで……怪我の状況はどうなっている?」

「右のアバラと肩甲骨に何本かのヒビに…右腕及び右足が単純骨折。それによる大量出血と言った所か
……ドラゴンにやられるにしては軽傷過ぎるし、かといって普通の攻撃でこのようになることは…」

 一方、真弘の病室では……。

「ほんっと、真弘さんってばよくここでぐ〜〜〜っすりと寝てますねぇ……」

 独り言を言いながら、真弘の寝顔(?)を見るディアーナだった。

「でも、寝てるときの真弘さんってばなんっか意外と可愛いですねって、何一人でぶつぶつと……」

 そういいながら、真弘の顔をじ〜〜〜っと近くに見つめるディアーナ、そこでいきなり真弘が……

 ――がばぁ!

「静〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!」

 と、言いながら勢いよく起き上がって、ディアーナを抱きしめた。

「キャ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!」

 いきなりの事で気が動転し、ディアーナは近くにあった洗面器で真弘をぶん殴った。

「静〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜……きゅう」
 と、言いながら、真弘は気を失った。

「ルシード、後で自警団(第一部隊)のほうに連絡入れてくれ…」

「あ……あぁ」

 と、そこにディアーナがやってきて…

「ちょっと待ってください! あの…先生、ルシードさん……。もしかしたら真弘さん、
あたしの事を『シズ』と言ってました。他の誰かと思って抱きついた……のだと、
思うんですけど…」

「他の誰か……か、わかった。貴様がそこまで言うのなら今回は大目に見てやろう
……ルシード、いいな?」

「あぁ……、本来なら即刻ブタ箱行きだがな……ドクターから聞いた状況で それやると…やばいしな」

 真っ白な雪が全てを包み込む。それはまるで、枯れたる世界を『銀色の月』へと
変貌させるかのように……。そして、悲しみをかさぶたのように覆い隠すかのように

〜To be Continued〜

〜執筆者あとがき〜

 数年くらい前に上記のサイトに掲載されていた奴を一つに纏めて、今見ると『うわぁ! すっげぇ変』と感じた
ところを修正した作品です。
 それにしても、前に書いた奴を焼きなおしてのそれだから、今読み返すと派手に恥ずかしすぎます。
(前に書いたときには何とも無かったのが、今読んでみるアレだったり……etc)

 次のエピソードでは、もっと暗く逝きます……(賢者の石の材料になって来い!!)。

あと、おいらのmooPBeMSSでお約束? なイメージCVリストをば。
☆登場PC&NPC(CV/イメージCV付き)

PC 福士真弘(PC047)自キャラ……中井和哉
福士真弘(19〜13年前バージョン)……竹内順子

NPC

トーヤ・クラウド……小杉十郎太
ディアーナ・レイニー……浅田葉子
ルシード・アトレー……石田彰

苧環 静……茂呂田かおる
福士龍真……小西克幸
福士真玄……UNKNOWN
福士 巴……UNKNOWN

アドルフ=B=アグ・ナーヴォン(アグ・ナーヴォン)……若本規夫
イヴァン=Q=クロイツ(クロイツ)……櫻井孝宏

 ……最後まで逆上せずに読んでくれて有難う御座いました。

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