実践報告  サンプルダウンロードを追加しました。 2001.01.22updated

地学への興味関心を高める環境作り
古い9801でインターネット?

1,はじめに

 よく生徒に「今日の天気は?」と尋ねられる。「○時頃寒冷前線が通過するから雨になるよ」と答えたのでは面白くない。この絶好のチャンスを活かして生徒自身に予想をさせ、「当たった!」「外れた」と天気予報の面白さを体験し気象・地学への興味関心を高めたい。
 しかし、肝心の天気図やひまわり画像などのデータ無しで予想したのでは、その予想は科学的な根拠のある予想ではなく、ただの”勘”でしかない。
 生徒が休み時間などを利用して、自由に気象情報を見て天気予報が出来れば、気象に親しむことができ、また、興味関心も高まるのではないか、と考えた。
  そこで、生徒が自由に気温・気圧・風速などを測定し、インターネットの気象データを見ることが出来る環境作りを試みた。
 2000年4月に赴任してから現在までに取り組んだのは以下の3点である。

 @気圧計の設置(写真1)           

写真1 気圧計

 A風速計の設置(写真2.3)

写真2風速計(屋上)     写真3風速計電器盤(室内)

 Bインターネットの気象データを閲覧できるパソコンの設置(写真4)









写真4

 生徒が自由に見て触れる場所として、@は準備室の廊下前、ABは地学実験室に設置した。        
 本稿では、Bインターネットの気象データを閲覧できるパソコンの設置について以下に報告する。

2,気象情報はインターネットの時代

 効果的な授業の条件の一つに、「生徒が肌で体験していることを教材化できること」が挙げられる。  地学の中では、災害(地震・水害等)に遭遇した体験を教材化したものが一般的であるが、これはごく一部の地域に限られたり、年月による体験記憶の風化は避けられない。その点、気象は日々教材化するチャンスがある珍しい分野である。
 体験を教材化する方法として従来行われてきたのは、風向風速・雨・気温等の観測をして、後日、新聞に掲載されている天気図や各地の気温等と共に観測日の気象状況を教材化するというものであった。時間割の関係で教材化できるのは数日後や1週間後ということもあり、記憶も薄れて効果は少ない。また、頻繁には実施出来ない。
 しかし、今ではリアルタイムの気象データはインターネットがあれば即時に入手可能である。インターネットでは、生のデータが豊富に存在しているからである。(図1)
 今は、日々体験する気象を教材化するチャンスを活かせる時代なのである。                          


図1 インターネットから入手できる気象データの例1

3,疑似インターネットの実現

 前任校では、地学室にケーブル・インターネットとパソコンを設置し、生徒が自由に見て授業でも利用できる環境であった。生徒が空いた時間に気軽に自由に利用できる。そして、授業では四季を通して5分程度扱い続ける。また、教材化のチャンスを逃さないために常時モニターする必要がある。といった理由からコンピュータ室のインターネットは利用できない。そこに行けばいつでも気軽に気象情報を見ることが出来る環境が必要なのである。
 1学期は、コンピュータ室に行き、インターネットから天気図やひまわり画像等を入手印刷して地学室前の廊下に掲示をしていたが、たまに生徒が見る程度で効果はあまり無かった。 10月、授業で昔の98用のソフトを使用するため、、教務資料室で使用されずに眠っていた昔のNEC PC9801 2台(RA1台、FA1台)(以下98という)を地学室に移設した。この98でインターネットの画像を見ることができないか?と考えた。しかし、98ではインターネットは不可能なだけでなく、インターネットの画像の主流であるJPG画像、GIF画像の表示もできない。
 しかし、世の中探せばあるものである。すぐに、JPG、GIF画像を98用で表示する画像ローダを探し出した。インターネットに多数ある画像から98の画面サイズに合う画像を探し、それらの画像がキー1つで選べる気象情報表示メニューを作成した。
ついに98で疑似インターネットが実現した。

 気象情報表示メニューで見ることが出来る画像は、2001年1月15日現在以下の17種類である。

1,今日の天気のツボ(ウェザーライン)
2,気象衛星ひまわり 赤外画像(日本)(仙台リサーチセンター)
3,気象衛星ひまわり 可視画像(日本)(仙台リサーチセンター) 
4,気象衛星ひまわり 水蒸気画像(日本)(仙台リサーチセンター) 
5,気象衛星ひまわり 赤外画像(全球) (日本気象協会) 
6,レーダーアメダス 雨の現況 (ウェザーニューズ)  
7,レーダーアメダス 雨の予想 1時間後 (ウェザーニューズ)
8,レーダーアメダス 雨の予想 2時間後 (ウェザーニューズ)
9,レーダーアメダス 雨の予想 3時間後 (ウェザーニューズ)
10,速報天気図 (ウェザーライン)
11,予想天気図 (ウェザーライン)
12,東部沖縄 気象レーダー (ウェザーニューズ)
13、アメダス南西諸島 降水量(ウェザーニューズ)
14、アメダス南西諸島 気温(ウェザーニューズ)
15,アメダス南西諸島 風(ウェザーニューズ)
16、アメダス南西諸島 日照(ウェザーニューズ)
17,台風進路予想図 (国土環境)


図2インターネットから入手できる気象データの例2

4,生徒の反応

 生徒の反応は予想以上であった。それまでは天気図やひまわり画像をプリントアウトして掲示してもほとんど反応が無かったが、98疑似インターネットを設置してからは、授業の合間の休み時間に、地学室のパソコン2台の前でひまわり画像やレーダー画像を見る生徒が絶えなくなった。(写真5)
 アンケートの結果、1年生地学選択生の約17%が「使ったことがある」と答えた。

写真5 

生徒の感想・意見より

「大満足です。その日の天気図・アメダス・解説・レーダーなど知りたい情報がすぐ取り出せて、自分なりに明日の天気はこうなるのかなとか予想に一役買っています。  高層天気図も見たいなと思っています。」
「1時間後に雨が降るとかあって、実際本当に雨が降り出してすごいなと思いました。 今後も利用して楽しみたいです。」
「天気レーダーとかはとにかくすごい。本当に当たるし、あまり天気に興味が持てなかったが、興味が持てるようになったし、簡単に見れるし、今後も続けて欲しい。」
「地学の時間の前は毎日使っていた。使いやすいし分かりやすく今日の天気とか分かったからよかったです。これからも置いて欲しいと思った。」
「うーん、ちょっと機器が古いかな。もうちょっと新しいのがいいかな。でも、内容 はけっこうおもしろかったよ。」
「もうちょっと早く画像が出てきて欲しい。結構当たっていた。」
「3時間後とかの天気も分かるので役に立った。」
「パソコンの気象情報はありがたかったです。」
気軽に見ることができて便利だと思います。」
「明日の天気予報もできたらいいのになー。」
「最低気温とか最高気温もみれるようにして欲しい。」

5,成果と課題

・成果

(1)生徒の興味関心を高めることができた。
(2)気象に興味が無かった生徒が興味を持つようになった。
(3)生徒と気象に関する会話が自然に持てるようになった。


・課題

(1)画像サイズが合わない
 98のモニターの画像サイズは600×400と小さく、インターネット上の画像サイズはそれより大きい物が多いため、なるべく小さいサイズの画像のあるサイトを探すのが大変であった。結局、ほとんどの画像は600×480で、98では一部画面からはみ出る状態である。また、高層天気図は全てサイズが大きく表示出来ない。
(2)準備時間の確保が難しい
 進路室のインターネットが空いているときはそれを利用させてもらい、画像をCDRに保存し、地学室へ戻り3.5インチのFDにコピー、さらに5インチのFD2枚にコピーするという段階を経て98疑似インターネットは実現している。(進路室が使用中のときはダイヤルアップで接続している。)その作業をする時間(約30分)を確保するのが難しい。
(3)データ更新が難しい
 時間が経つにつれ、情報は次第に過去の物へとなるが、準備時間の確保が難しいため、そう頻繁にデータの更新はできない。(気象情報と刺身は取れたてのものがよい)
(4)画質が悪い・表示が遅い
 画像ローダで16色に減色しているため画質が悪い。「今日の太陽黒点」というメニューも試みたが、太陽表面がざらざらして黒点がはっきりしなくて中止した。また、画像変換に時間がかかるため表示が遅い。Jpg(600×480)の表示にFAで30秒、RAで1分かかる。

6,最後に

 地学への興味関心を高める環境作りの一つとして、誰も使わなくなった98で疑似インターネットを実現した。その結果、生徒が休み時間を利用して気象情報を見るということが定着したように思える。使用した予算がほとんど0に近いということと、その教育効果を考えると、コスト・パフォーマンスは抜群に高いと思う。しかし、課題点が多く忙しい時にはデータが取れず電源を入れない時も何度かあった。「今日は無いの?」と言う生徒の言葉に歯がゆい思いを感じた。
 地学教室にインターネット環境があれば、課題点は全て解決できるだけでなく、気象を理解するのに最も重要な雲画像の動画を見たり、ライブカメラで離れた地点の天気を確認したり、その活用はさらに広がり、生徒の興味関心はより高まるであろう。やはり、98疑似インターネットではとうていかなわない。
 また、インターネットのリアルタイムデータは、気象データだけでなく、地震データ、太陽観測データ等、様々な分野の「生きた自然の教材」があり、現在の地球と地球を取りまく環境を対象とする地学にとってはまさに”宝の山”である。
 見たいデータが見たいときに見られる環境の実現、そして、生きている地球の姿を教材化するためにも地学教室に常時接続インターネットは不可欠となるであろう。

<資料>

1,使用機器

NEC PC-9801RA;1台 NEC PC-9801FA;1台

2,使用ソフト

 ・MS-DOS Ver.3.3D
 ・JPGローダー;JPGV98.EXE  作者;五ノ井 敏行氏
 ・GIFローダー;NGIF.EXE Ver1.01  作者;НИР氏
 画像ローダーは「フリーソフト&シェアウェアPACK13000 1996年後期版」(ベクターデザイン発行)のCDROMから入手。ベクター等のダウンロードサイトでも入手可能と思われる。

3,メニュー(MENU.MNU)の内容

-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
%%MENU%%
;
; 気象情報表示メニュー
;
; 普天間高校 地球科学教室 2000
;
気象情報表示 普天間高校地球科学教室
今日の天気のツボJPGV98 tubo.jpg ウェザーライン
気象衛星ひまわり 赤外画像(日本)JPGV98 jwair1.jpg 仙台リサーチセンター
気象衛星ひまわり 可視画像(日本)JPGV98 jwavis.jpg
気象衛星ひまわり 水蒸気画像(日本)JPGV98 jwair3.jpg
気象衛星ひまわり 赤外画像(全球)JPGV98 sat-full.jpg JWA
レーダーアメダス 雨の現況JPGV98 RADAME~1.jpg WNI
レーダーアメダス 雨の予想 1時間後JPGV98 RADAME~2.jpg WNI
レーダーアメダス 雨の予想 2時間後JPGV98 RADAME~3.jpg WNI
レーダーアメダス 雨の予想 3時間後JPGV98 RADAME~4.jpg WNI
速報天気図JPGV98 sokuhou.jpg ウェザーライン
予想天気図JPGV98 fsas.jpg ウェザーライン
東部沖縄 気象レーダーJPGV98 rnah.jpg WNI
アメダス南西諸島 降水量JPGV98 amedas~2.jpg WNI
アメダス南西諸島 気温JPGV98 amedas~3.jpg WNI
アメダス南西諸島 風JPGV98 amedas~1.jpg WNI
アメダス南西諸島 日照JPGV98 amedas~4.jpg WNI
台風進路予想図NGIF -k -h[-] -e[-] typhoo~1.gif台風発生時のみ 国土環境
-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

4,画像入手先


通信・放送機構 仙台リサーチセンター(http://www.sendai.tao.go.jp/apl/index.html)

ウェザーライン(http://www.wline.co.jp/)

ウェザーニューズ(WNI)(http://www.wni.co.jp/cww/index.html)

国土環境(http://www.metocean.co.jp/kisho/html97/kisho/)

5,その他

9801疑似インターネット サンプルダウンロード
MS-DOSのシステム
の入ったフロッピーディスクに解凍して使用して下さい。FD1枚に収まります。

・サンプルではレーダーアメダスなどの地域は沖縄です。
・メニューの1ページのみ画像が入っています。(軽くするため)
・MENU.MNUの内容を書き換えて、独自のメニューを作成して使用して下さい。

・気象情報地学室用.htmを自動(手動)巡回すれば必要な画像が入手できます。

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