| そこを見てあげて! これは僕が過去に実体験した そして何よりも考えさせられたおどろおどろしい人間ドラマです。 それは 「人」 と、いう情熱あふれる丸みのある角度から見たものではなく 「人間」 と、いうトゲトゲしい角度から見たヒュ−マニティ−なのです。 まず 「人間誰しも飛びぬけた才能をひとつは持っている」 と、いうことを力強く主張したあとに 「が、しかし、それは何気ない軽い気持ちで気付かれない場合が多い」 と、いうことも主張しておきたい。 そして才能とは 「凄い奴だな」 と呼ばれるか 「おかしい奴やな」 と呼ばれるかのすれすれのところで繁殖してるということも覚えておいてもらいたい。 凄いとおかしいは紙一重なのです! ここ大事なのでもう一回いっておきますが 凄いとおかしいは紙一重なのです!! あるひとつの出来事が 僕をこう連呼させる物体に変化させてしまったのです。 あれはまだ僕がチェリ−ボ−イの14歳の夏の夜のことでした。 僕は親父のカ−ドで借りたエロビデオを返しに レンタルビデオ店にチャリンコで向かってました。 「出来の悪い生徒と教師」 あまりのビデオの完成度に 身も心も使用感もスッキリで レンタルビデオ店に向かいました。 そして大きな交差点を横切ろうとした、 まさにそのとき、 ス−・・ と、左わき腹のほうから、 いやにスカしたパッとみ60代後半くらいのおばあが 自転車をたちこぎしながら僕の前に出てきました。 目がギョロッとしていて 口はつねに半笑い、 頭はおばあ特有のクルクルパ−マネントをかけていました。 「キ−コ、キ−コ」 自転車のペダルをおもむろにたちこぎしながら 頭を上下にさせていました。 「何で半笑いやねん・・」 「何で半笑いやねん・・」 思わず心の中で2回つぶやいてしまいました。 変に思いながらも進む方向が同じようで 僕はしぶしぶおばあのあとをついて行ってました。 「キ−コ、キ−コ、キ−コ、キ−コ」 やけにうるさいペダルの音に 「うっとうしいなぁ・・」 と思いながらもおばあのあとをついていきました。 「キ−コ、キ−コ、キ−コ、キ−コ」 このキ−コをこの後、 半時間余りおばあの後ろで聞いてました。 「キ−コ、キ−コ、キ−コ、キ−コ・・・」 あっ!! この瞬間、 僕はこのおばあの恐ろしいともとれる 凄い才能に気がつきました! おばあはこの日、 僕と出会ってから1回もサドルに座っていないのです! そう、 ずっとたちこぎのままなんです! 別に坂道なわけでもなければ 自転車にイスがついていないわけでもありません。 背筋をピンと張り、 クルクルパ−マを上下させ、 今にも天にのぼる勢いで、 それはそれは美しい姿でした。 そして、それはただガムシャラに ペダルを踏むだけの立ちこぎとは違います。 おばあが通る交差点の信号はつねに青なんです。 おばあは交差点から次の交差点までの距離と、 信号の赤から青に変わるタイミングを瞬時に計算、 一番いいBESTのスピ−ドにたちこぎを調整、 絶対に青で通れるように 考えられた恐ろしい計算力でした。 僕はレンタルビデオ店で止まりましたが おばあはそのまま直進、 闇の向こうに半笑いで消えていきました。 世の中にはいろんなプロがいます。 野球のプロ ゴルフのプロ 殺しのプロ たちこぎのプロがあれば それはまさにこの人のことでしょう。 しかし誰かがこの「才能」を見つけない限り この人はただの「おかしい人」なのでしょうか? |
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