約束
「え?ずっと待つつもりなのかよ?」
桑原が財布を取りに帰った途端、
急に雪菜が飛影について色々尋ねるものだから、
幽助は飛影が兄だと気付いたのかな?と思った。
それで、恐る恐る”兄探し”について聞いてみたのだ。
そうすると、雪菜はいきなり兄探しを止めると言い出した。
幽助はこの数分間の会話でどれだけ混乱した事か……。
”兄探し中止”の次に言った雪菜のセリフが
『兄が名乗ってくるまでずっと待っている』
だった。
「はい!私、気長い方ですから大丈夫です!」
「大丈夫ですって……
……もし……、もしもの話だけどよ……
ずっと名乗ってこなかったらどうするんだよ?」
「ずっと待ってます(^^)」
「え…と;;;だから、全然相手が名乗るつもりがなかったら……」
「ずっとずっと待ってます(^^)」
「…………」
「これから先どんなことがあっても何が起きても
私は妹ということに変わりはないんです。
だから、ずっと待っていられるんです。」
―――たった一人の私のお兄さん。私はずっと待っています。
―――ずっと貴方を待っています……。
トントン
ドアをたたく音がした。
「はい!」
ガチャ。
ドアが開いた。
「あ、和真さん。」
「雪菜さん。さっき隣のおばちゃんが
メロンくれたんです。
みんな(桑原家の人々)ももう1階で食べてるし
雪菜さんもどうスか?」
「あ、頂きます!!
でも、あともう少しでお部屋の掃除が終わりますので
私後から行きます。」
「そうスか。雪菜さんはきれい好きッスね。」
桑原はそういいながら1階に降りていった。
雪菜はさっさと掃除をし
1階に行こうとした。
その時
カタン。
窓の方から音がした。
雪菜は窓の方を見た。
すると窓辺に2つ光るものを
見つけた。
「・・・・!!!氷泪石!!!」
1つは私が飛影さんに渡した
私の氷泪石。
もう1つは・・・・・・お兄さんの氷泪石!?
「幽助・・・・話をするときはもっとちゃんと話してくださいね。」
幽助の屋台に客としてきてる蔵馬が苦笑いをしながらそう言った。
「えーー、オレ、ちゃんと話さなかったか?」
「重要な部分が抜けてます!!!!!
”雪菜ちゃんが飛影のことずっと待つつもりだ”って言えば
オレも飛影のところについていってあげたのに・・・。
幽助、飛影にもちゃんと言わなかったんでしょう?
だから、飛影を怒らせて、殴られたんじゃないんですか?
そうでしょう?その殴られたあと。」
「う゛ーーー、でも、最後はちゃんと言ったぜよ。」
「だと良いんですけどね。」
トントントントントン
きれいに幽助は野菜を切っていく。
とても器用である。
蔵馬は幽助を見ながらにこにこする。
「な。なんだよ。何にやけてんだよ!?
気持ち悪りぃな!!」
「ねぇ、幽助。待つのは辛いって言ってたけど。
待たせる方は辛くないの?」
蔵馬は意地悪っぽく笑いながら問いかける。
「・・・・・さあな。」
幽助はその問いには答えないで、黙々とラーメンを作る。
「飛影にわざわざ待たせる役をやらせにいって良かったんでしょうか?
”雪菜ちゃんがずっと待っている”ということを飛影に伝えた結果
飛影の重荷になったりしないでしょうか?」
蔵馬は今度は真剣に問いかける。
幽助は無言のままだ。
「雪菜ちゃんが待つ辛さを味わい、
飛影もまた待たせる辛さを味わうんですね。」
幽助は蔵馬の前に野菜たっぷりのラーメンを置く。
「へい。お待ちどうさま。」
ジャアアアアアアーーーーー・・・・・・。
幽助は皿洗いを始める。
その水の音にまぎれながら
幽助の声が聞こえた。
「それ、ずっげー後ろ向きな考えだよな。
確かにさ、待たせるのも辛いけど・・・・
自分を待っててくれる人がいるって思ったら、うれしいだろ?」
蔵馬は”くすっ”と笑い
「なるほど。それは、すごい前向きな考えですね。」
「だろう?」
「さすが!経験者は違いますね(^^)」
「なっ煤i///;)なんのことだよ!!?」
「え?説明してほしいですか?
幽助が魔界に行くとき螢子ちゃんと……」
「わ―――――!!!いい!!説明しなくて!!!」
ジャアアアアアアアアアアアア――――――!!!!!!
勢い良く蛇口をひねる幽助。
蔵馬は笑いをこらえながら
ラーメンを食べ始める。
タタタタタタタタタ・・・・・・・・。
足音が聞こえた。
その足音の持ち主は雪菜だった。
「あれ?雪菜ちゃん、今日は1人?
桑原のバカは一緒じゃねーの?」
雪菜は幽助の質問には応じなかった。
「幽助さん、蔵馬さん、これ見てください!!」
雪菜は2つの氷泪石を見せた。
「これを持っているのは私と私の兄だけなんです。
窓の方で音がしたと思ったら、これらが置いてあったんです。
つまり、兄が来たということなんです。
でも、氷泪石を置いていくなんて・・・・・。
どういうことなんでしょう?」
幽助と蔵馬は目と目を合わせ笑った。
「落ち着いてください。これは約束ですよ。」
「約束?」
「そう約束!!いつかその氷泪石を取りに来るんじゃないか?
雪菜ちゃんの兄ちゃん。」
「だから、雪菜ちゃん、あなたはその氷泪石を持って待ってれば良いんですよ。
いつかきっと、お兄さんがあなたの元へと来るはずですから。」
蔵馬は雪菜に優しく話す。
「あなたのお兄さんはね、あなたにずっと待っててほしいんですよ。
お兄さんも、不安なんです。
いつか、雪菜ちゃんが待たなくなるかもしれないってね。
だから、約束をするんです。
お兄さんにとって、約束は支えなんですよ。
ね。幽助♪」
蔵馬は、意地悪だ。
幽助はそう思った。
魔界に行く前日の気持ちを
見事に言い当てられた気がした。
(ちぇっ!!これだから頭の良い奴は!!!)
「雪菜ちゃん、早くお兄さんに会えると良いですね。」
蔵馬はにっこりと笑う。
雪菜は笑顔で
「はい!」
と、答えるのであった。
2つの氷泪石は物語っている……。
『これから先どんなことがあっても何が起きても
オレはお前の兄である』
――ということを。
私は貴方に会いたいです。お兄さん。
名乗ってほしいと思っています。
でも、たとえ……
たとえ、この先、ずっと名乗り出てくれなくても
私は貴方の妹でいたいです。
いいえ。
私は貴方の妹です。
―――私はずっと貴方を待っています……。
★終わり★
今回は……ちょっとだけ直しました。
この話では、明らかに幽助&蔵馬の考えと
雪菜&飛影の考えは違います。
幽助&蔵馬は、飛影に対し
「いつかは名乗るんじゃないかなぁ?」
「もしかしたら名乗るんじゃないかなぁ?」
という期待(?)があるんです。
しかし、雪菜は「会いたい」「名乗ってほしい」と思っていても
「きっと名乗ってはくれないだろう」
と感付いています。(私の書く雪菜ちゃんは敏感なのさっ!恋には鈍ですが)
だから、幽助&蔵馬は
雪菜が「きっとお兄さんは名乗ってくれる。それまでずっと待っているわ」
という考えをもっていると思っていて
飛影が雪菜に氷泪石を渡したのも
「いつかきっと会いに行く(名乗り出る)」という意味に
取っちゃったんです。
雪菜は口では「ずっと待ってる」といってますが
それは「何があっても妹でいる」という意味なんです。
同じように飛影についても「何があっても兄でいる」という意味です。
はっきりいって、この解説がなければ読み取れません!!
――というかこの解説読んでも読み取れませんね……。
さて、この話、誰がかわいそうって桑ちゃんでしょう。
自分のいないところで話が進んでいき、
愛する雪菜さんとおいしいメロンを食べようとしていたのに
その雪菜さんはとっとと出かけていってしまい……。
すまんのう……桑ちゃん……。
ちなみにこの話書いたの夏ですから!
ここまでお付き合いくださいましてありがとうございました。
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