しまなみ海道から伊予-讃岐 / 2007年01月03日(木)〜7日(日)



しまなみ海道から伊予-讃岐1 

 2007年1月3日
自宅出発(10:30)…2号線をずっと走り明石…加古川…岡山…福山…尾道…道の駅 クロスロード・みつぎ(19:30)…就寝(21:00)


 10:30にクルマで自宅を出発しました。今回もいかに安く行くかというのを考えたとき一番安いのはもちろん青春18きっぷによる輪行ですが(幾人かの方から指摘されましたがホントはガソリン代が7,000円と電車賃3,000円足しても青春18キップより安いです。そうです。私は計算が苦手です)、クルマにしました。理由は、冬場のおへんろは初めてで装備もどうすれば良いかよく分からないため現地までいろんな選択肢を持って行き自転車でこぎ出す直前に決定しようと考えたからです。防寒具はどの程度にするか、ホイール(タイヤ)は28Cか25Cか等。クルマでも高速道路を使わなければガソリン(約50 リットル)代とクルマまで戻るときの輪行の電車賃(2〜3,000円)だけ。クルマを置くのは尾道大橋から一番近い道の駅。2つ候補がありましたが、海の近くではなくて山の中にあるクロスロード・みつぎの方が距離的に近そうだったコトと更にもうひとつの理由がありそこにしましたが、たぶん失敗でした。尾道大橋まで20kmありました。行きはまだ良かったのですが、1月6日深夜の帰りは上りで寒いし雪は降るしで散々でした。

 しまなみ海道から伊予-讃岐2

 2007年1月4日
道の駅 クロスロード・みつぎ(6:00)→尾道大橋料金所(7:00)→向島→因島→生口島→大三島→伯方島→大島→四国上陸(11:05)→55南光坊→54延命寺→56泰山寺→57栄福寺→58仙遊寺→59国分寺→61香園寺→石根ふれあい公園(野宿場所) 総走行距離:約163.km
総走行時間:13時間くらい
実走行時間:10時間くらい
実平均速度:16km/hくらい
停止時間 :約3時間


 朝5:00に起床、自転車を組み立てる。結局28Cのタイヤのクロスバイク用のホイールにする。朝食を摂って6:00に出発。道の駅から尾道大橋料金所 までは約20km。尾道大橋の料金所には7:00に到着。尾道大橋だけは橋よりも渡し船を使うことを表示もしてあるしネットでもそう勧められていますが、 ダメということはないようなので橋を使うことにしました。確かに自転車で走るのは少し恐いのですが、朝のクルマが少ない時間帯なら大丈夫でした。その尾道 大橋を走って向島に渡ると「アレ?」と思うことになりますが、しまなみ海道は自動車道も自転車のレーンも下界へと下りていくのです。「まあ、最初は渡しを 使えというくらいだからまだちゃんと整備されていないのか。」と思い表示の通り一般道に下りてしばらく走ると自動車は左折してまたすぐに高架道路へと上っ ていくことになるのに、サイクリング・ロードは直進との標示が出ています。「??」と思いながらも仕方がないのでそのまま走ると結局島を半周することにな り高架道路の端にたどり着きそこからは当然高架道路の高さまで上がらなければならないのでまるで山上の札所に行くかのようにクネクネと坂を上っていきま す。これは向島だけなんだと信じて上りましたが次の因島もそうでした。島の外周道路を半周しなければいけません。そして実は全ての島がそうなのです。サイ クリング・ロードといっても段差はあるのでロードレーサーでは走れないし、クロスバイクでも荷物を積んでいるので段差は極力避けたい。ということで、車道 部分を走ることになります。車道を走るなら島によっては遠回りなサイクリング・ロードを走らなくてもショートカットの道路を走った方が良かったかも知れま せん。




因島大橋の入口です。



因島大橋は車道の下を自転車と原付が走ります。

 しかし、全ての島で上ったり下りたりを繰り返し、しまなみ海道なんてほんのわずか橋の部分しか通ることができず全然面白くありませんでした。島に下りて ポタリングを楽しむというのが目的ならそれなりに楽しいのかも知れませんが、移動手段としてこれらの橋を使うのは全くもってお勧めできません。実際自転車 も原付もほとんど見ませんでした。通学(部活に行く)する自転車と今治近くで少しサイクリストを見たくらいでロードレーサーは皆無、一気に本州四国間を渡 るヒトはほとんどいないのではないでしょうか。60km一気に走れたらどんなに気持ちが良かったことでしょう。結局70kmと少しを約4時間で走って11 時5分に無事四国に上陸しました。



もうここは四国です。

 四国到着後は55番札所の南光坊から打ち始め、54番に戻り、また56、57番を打ち、次の58番仙遊寺が意外と難所でした。でも、荷物を積んだまま充 分上れましたのでまだ知れています。国分寺、香園寺と回り、香園寺別院というのを探していたらすぐに17時を過ぎて暗くなってきました。

   この日あるお寺では着物を着た女性二人が大きな声ではしゃいでいて呆れました。お寺ですよ。少し静かにしてくれと言おうと思いましたがよく見ると写真を 撮っているようで、カメラマンは若い僧侶のようです。一人の女性は恐らく20歳なのでしょう。そしてもう一人はその母親。いずれも美人なのですが、会話か らするとどうもこのお寺のヒトのようなのです。「この像はうちにしかないからこれと一緒に撮って。」なんてことを大声で言っているのです。静かな良いお寺 のハズなのにキヤッキャ言って騒いでいます。

 「なんだこの寺?」

 と思ってしまいました。

 お参りを済ませて納経所に行ったらやはり先ほどの若いお坊さんが御朱印を押してくださいました。

 しかし、この季節は夕方5時を過ぎるともう陽は落ちて暗いのです。暗くなってもまだ寝る場所が決まっていないというのはツラいものです。香園寺の別院に 休憩所というのがあってそこは野宿場所に良いとのことだったので探したのですが、どうも見つからないというか山の中のようでした。道の駅は自動車道を入っ ていなければいけないようだし、はて困りました。結局少し戻って石根ふれあい公園というのを探すと、ワリに簡単に見つかりました。これは絶好の野宿場所で した。思わずガッツポーズをしたくらい。インスタントモノですがガス・ストーブ(バーナー)と固形燃料で自炊して食事。コーヒーはドリップで淹れて久しぶ りにアウトドアを満喫。但し寒い。じっとしていると寒すぎます。

 テントを張って新しい寝袋で寝ましたが全く快適でした。始めて野宿したのはおへんろの初めて来たとき高松駅でしたがあの時は回りにヒトの気配がするのに 落ち着かず全然眠れませんでした。その後は実際に回っているときに各地で野宿しましたが最初のうちはヒトがまったく回りにいないのも恐かったモノですが、 いまやどんな環境でも熟睡できます。慣れというのは恐ろしいモノです。




しまなみ海道から伊予-讃岐3 
 2007年1月5日

石根ふれあい公園(6:50)→宝寿寺→吉祥寺(8:10)→有料道路入口(9:10)→横峰寺(10:10)→前神寺→福武食堂→川之江(4:30)→金生町(5:00)→寒川町→伊予三島運動公園(野宿場所)(6:30)
総走行距離:100km
総走行時間:11.7時間くらい
実走行時間:7時間くらい
実平均速度:15km/hくらい
停止時間 :約4.7時間


 吉祥寺から横峰寺への上り口はすぐわかりました。192号線を湖の方へずっと上がって行きます。湖に出ると右に曲がりずっと走ると右に横峰寺の看板があ りそれに従い上るとバスセンターがありそこからずんずん上る。程なく有料道路の入り口にたどり着き、ここに荷物を置かせてもらおうと思って覗いてみるけど 料金所にヒトがいません。軽トラが停まっておじさんが下りてきたのでここのヒトかなと思ったけどそうではなくて歩いてずんずん上って行かれます。裏に回っ て勝手に荷物を下ろして雨が降りそうなのでウインドブレーカーを脱いで荷物にかけておく。

 すると、クルマのおへんろがやって来て、

 「あれ? 通行できないのですか?」

 と私に聞くのですが私も知るワケがなく知らないとお答えますがそれではあまりにも素っ気なく意地悪すぎると思い、でも何台かクルマは上がって行った旨伝 えると不審そうに上がっていきました。12月某日から2月の某日まで自動車通行禁止の看板が立っていたからです。それにしても、私が係員に見えるワケがな いのに聞くなよと思います。





 この料金所から上は次第に坂が険しくなっていきだいたい10%〜15%、たまにそれ以上の道が延々続きます。先ほど歩いていったおじさんを追いかけよう としますが全然見えません。なんと足の速いヒトでしょう。サイコンを見ると5〜6km/hくらいです。平地を歩くスピードとしてもかなり速いと思うのです が。

 ずいぶん走ってやっと背中が見えましたがこちらも少し休憩せずには上がれないくらいの傾斜が続くところだったので少し休むとまた見えなくなってしまいま した。ここで追いかけるのは諦めてまたゆっくりと上がります。さらにしばらく上がると下の景色が見えるところでそのおじさんは何か食べながら休憩していま した。私の姿を見て言いました。

 「自転車もここじゃたいへんそうですね。」

 「いやあ、歩くの速いですね。全然追い付きませんでした。」

 と私もそう言って抜いていきました。地元のヒトのようなのであとどのくらいか尋ねれば良かったと気づくのはしばらく過ぎてからでした。高度が上がるに 従って段々と寒くなってきました。額から汗はしたたり落ちるのですが背中、腰の辺り汗をかいたところから冷えて寒気を感じるようになってきました。こうい うのは初めてです。上に着いたら着替えなければなりません。しかし、長い。坂のキツさからいうと10〜15%くらいなのでそんなに大したことはありません がいったいどれだけ続くのかというくらい長い。

 これまでの難所で私にとって一番キツかったのは神峰寺です。焼山寺も鶴林寺、太融寺もキツかったのですが、本当に険しい部分は短いのです。神峰寺は 15%〜20%以上の坂が延々と続くのです。ただ、焼山寺も実際はかなしんどかったのですが、あそこは初めての難所だったし自転車にも乗り始めでかなり体 力も劣っていた頃だと思うので少し差し引いています。

 駐車場に到着するなり中の即乾シャツとフリースを着替えました。濡れたのを着たままだと風邪を引くことは避けられません。駐車場から400mくらい歩い て本堂に到着。何台かクルマには追い抜かされたのに1本のローソクも線香も立っていませんでした。納経所では感じの良い若いお坊さんに、

 「歩きですか。」

 と訊かれました。こういうときはたいてい駐車料金または通行料金を徴収するために訊いているのです。歩きのヒトにご苦労さまという気持ちからではありません。と思いながら答えました。

 「自転車です。」

 「上まで?」

 「はい。」

 「それはご苦労さまです。」

 とみかんをくださいました。先ほどのうがった見方を少し恥ずかしく思いました。





 下りはラクですが、寒かった。料金所で荷物を回収してまた11号線に出て今度は前神寺。これはすぐでした。ここの納経所では横峰寺から来たのか訊かれました。

 「横峰寺には行きなすったのか、旅の方。」(もちろんこんな口調ではありませんが気分です、気分。)

 「はい。」

 「クルマかのう。」

 「自転車です。」

 「ほう。どうじゃった。」

 この「どう」というのが何を訊きたいのかと思い返事をためらったらまた言いました。

 「雪はどうじゃった。道は凍っておったか。」

 「いえ、全然大丈夫でした。」

 と、そうなのですよね。この季節、やはりあのあたりは積雪や道路の凍結があって、バスは運行を停止しているし、一定期間クルマの通行も禁止されているの です。過去に行かれた歩きの方のサイトの写真もしっかり積雪が写っていました。まったく雪も氷もない状態というのは珍しいのでしょうね。これも私の日頃の 精進がイイからでしょう。

 ということで、次は11号線ひたすら走って50km先の三角寺を目指すワケですが、時間を考えるとギリギリ間に合わなくもない。でも、先ほどの横峰寺で 疲れているのと、お腹が空いているのとで今日は諦めて翌日一番に三角寺を打つことにしました。まあ、これは正解で三角寺はまた坂の上なので実際間に合わな かったと思います。

 11号線はヒジョーに走りにくい道路で、道幅は広くないのに大きなトラックがビュンビュン飛ばしています。歩道も狭い上にアップダウンがあるのでとても走れません。ということでトラックに怯えながら車道をゆっくり走ります。

 前神寺から4、5km走ったところ前方右側に福武食堂というのを発見。これは入らないワケにはいきません。ゆっくり食事をして自動車のお遍路さんと話を して2時くらいに出発。ここからなぜか調子が良かった。おそらく風向きの所為だと思いますが俄然やる気が出てかなりのペースで走りました。2時間ほど走っ たら「川の江」という標示。慌ててコンビニに飛び込み伊予三島の駅を訪ねると通り過ぎているよう。時計を見ると4:30。もしかして、間に合うのではない かという誤解。慌てて引き返しここくらいと辺りを付けたところで南に曲がってそこからは地図を見ているヒマはないのでヤマカンで走りました。

 カンは見事外れて5時となったところで地図を見ましたが全然違っていました。それに合っていてもダメでした。三角寺が難所ということをまったく忘れていました。あの時間からではやはりとても間に合うはずがなかったのです。

 ということで、今日の寝床探し。新長谷寺の前に休憩所があるということで寒川町に行きますがそんなお寺は見あたりません。本屋に入って詳細地図を立ち読 みするとまたまた人里離れたところにありそうなのでやめました。代わりに運動公園というのを発見。しかも近い。すぐ行ってみるとこれがホントに感激。キレ イに整備された素晴らしい公園です。芝生や土のテントを春のに絶好の場所がいっぱいあります。海辺の工場地帯なので人家も少ないしヒト気もなさそう。但 し、管理は厳しそうなのでもちろん野宿は許されようもありません。なのでこっそりと見つからないようにまた痕跡を残さないようにしなければなりません。 よって、火を使う調理は遠慮することとして夕食は外食に決定しました。

 また、国道に戻って食事して公園に帰ってきました。先ほど見た感じでは東側が野宿に適してそうだったのですが、東隣になんと斎場があるのです。さすがに ここは敬遠して他の場所を。すると意外に公園にヒトがいることに気が付きました。冬のこんなに寒いのにとは思いますが、まだ8時前ですから仕方有りませ ん。グランドの北側に植え込みがあってここは見えにくいし土の上に枯れ草が乗っていてちょうど良い感じなのでここにしました。テントを張ろうとしたらジョ ギングしているヒトとウォーキングしているヒトが通るのです。向こうから見えるハズはないのですがテントを張るには音がするので不審に思われるはず。結局 周期を考慮して少しずつテントを張りました。なんかスパイ映画みたい。9時過ぎに就寝。




しまなみ海道から伊予-讃岐4 
 2007年01月6日  

  1月6日
伊予三島運動公園(野宿場所)(6:30)→サンクス(7:00)三角寺(7:50)→雲辺寺(12:10)→大興寺→神恵寺→観音寺→本山寺→本山駅…高松…宇野…岡山…尾道→道の駅 クロスロード・みつぎ(1/7 1:39)…自宅到着(1/7 9:00)
総走行距離:85km
総走行時間:11時間
実走行時間:6時間くらい
実平均速度:120km/hくらい
停止時間 :約5時間


 朝は5時に起きたのに出発は6:30。テントの撤収に自転車の荷物の整理に時間がかかるのに、それからゆっくりコーヒーを淹れて朝食をのんびり摂るのがいけないのでしょうね。

 実は昨日足を痛めてしまいました。左の足首の後ろ側が痛い。ちょうどアキレス腱の辺り。つま先を曲げ伸ばしすると潤滑油が足りないかのようにギシギシ音 を立てる感じ。足首は腫れています。リアのキャリアバッグというのは足に干渉しないように前側は少し斜めにカットしてあるのですが、詰め方が悪かったのか その部分にパーコレーターが飛び出していてペダリングの度に左の踵が当たっていたのです。下りて詰め直せば良かったのですが、そうせずに足首を曲げて、つ まり引き上げるときにはつま先を伸ばすような方法で踵が当たることを防いでいたのです。どうやらこれが悪かったのかも知れません。11号線を走っていると きに痛みを感じ始めていました。もしかしたら、早いうちに打撲でもしていたのかも知れませんけど。

 だから、今度は荷物の詰め方にも気を遣いました。

 いよいよ出発ですが、昨日も感じたけど三角寺は入り口がかなりわかりづらい。そう思っていたので本日はすぐに誰かに訊こうと決意。11号のバイパスを東 に向かって走るもそれらしいところが見つからずしばらく走って少し戻りサンクスで店員さんに尋ねました。するとそのサンクスの道を南に入って行くとのこ と。よく尋ねられるようです。その店員さんは「歩きの方はそこを入って行かれますが自転車が行けるかどうかは知りません。」と教えてくれました。

 まっすぐひたすら進むと、ゴミを捨てに出たおじいさんとすれ違ったので

「おはようございます。」

 と元気に挨拶すると挨拶を返してくれて、こう尋ねられる。

 「三角寺に行くのか?」

 「そうです。この道を行けばいいんですよね。」

 「うん、とにかくクルマの走る広い道を行けばイイよ。」

 と、教えてくれました。

 それからほんの少し走ると鋼山發電所というのがあります。どうみても小さな変電所ですが發電所と難しい時で書いてあります。チョウ・ユンファの發です。その發電所を見るために近づいていくと後ろからパジェロミニに乗ったおじいさんに声をかけられます。  「三角寺はそっちじゃない。」

 一瞬さっきのおじいさんかと思いましたが違うヒトのようでした。そのおじいさんの話では三角寺の次の雲辺寺にはここに下りて来ないで別の道を走るという ことなので三角寺へは荷物を下ろさずに上らなければいけないことになりました。ここも長いけど10%以下の坂なので一番軽いギアでクルクル回してゆっくり 行けば単独ではそんなにキツいところではありません。但し、次の雲辺寺と続くのでたいへんなのです。そういう意味でも三角寺ではあまり体力を消耗させないようにすべきです。











 三角寺でお参りを済ませ駐車場まで戻ってくるとおじいさんに声をかけられました。

 自転車がどうのこうの言っていますが見覚えのある顔。

 「下で会ったけど覚えているか。」

 「次の雲辺寺にはな…」

 と行き方を教えてくれます。通行止めと看板の出ている道も自転車なら大丈夫なのでそこを通って椿堂から192号線に出る。192号線右に曲がってトンネ ルを越えたところの信号を左に曲がって…、とそこからが詳しくなるのですが、生憎記憶できたのはそこまでした。しかも自動車を日常的に使うヒトですから感 覚が自動車のそれなのです。つまり軽く192号線に出てからトンネルまでというのがすぐかと思ったら延々上り道が続くのでした。

 とはいえ、下から心配して上がってきてくれたこのおじいさんは本当に親切な方でした。上がったついでに三角寺にお参りに行かれましたが元々は上がるつもりがなかったハズです。私に次の道を教えてくれるためにわざわざ来て駐車場のところで待っていてくれたのです。

 おじいさんに御礼を言って、感謝しながら通行止めと書かれた椿堂方面に走りました。確かに工事中が途中で停まっていましたが自転車なら通行可でした。メ インの道路から椿堂方面に分かれるところで椿堂に行く方に曲がらずそのまま道なりに走って192号線に出ましたが、椿堂方面に走った方がショートカットし て192号線の先に出られたようです。右にひたすら走ります。けっこう走ってまた登坂車線ということは上りが続くことが予想されるところの手前でへんろみ ちがありました。一応舗装された道が続いているのでこのまま自転車で行けるのではないかと思ったのが間違いの元でした。舗装がアスファルトからコンクリに 変わってから道が険しくなっていきますがそれでも自転車で進めます。ところが完全に舗装がなくなり遂には階段状になってしまいます。すなわち自転車を押す しかなくなるのですがそれでもまだこれくらいはまだまし。果ては階段も角度が急になりすぎてほとんど担ぎ上げることになります。





ここまではまだ走れます。



ここはもう道というより斜面です。

 やっと県境に出て、地図上ではすぐに車道と合流するはずなのに少し下りの階段があります。ほんの少し進めばようやく車道に合流するのですが、やっと車道だと喜んだのでこのショックは大きかったのです。



やっと車道にでました。あの階段を下りてきました。




 車道にたどりついたもののこのときには体力を消耗してほとんど歩く速さでタラタラとしか走ることができなくなっていました。ここからは尾根伝いに走るので 険しい坂はなくなって緩やかなアップダウンしかないにも関わらず、です。ゆるゆると走って12:10に雲辺寺に到着。長い旅でした。






 お茶を全て飲み干したので水分補給をしようと自動販売機や売店を探しましたが雲辺寺にはなぜか全然ないのです。仕方がないので先にお参りして、トイレで 服を着替えてはてどうしようか考えました。帰りにこのまま水分なしというのは少しツラいのと、天気が悪くなってきて雨が降りそうだし霧が出てきたような気 がします。下りはロープウェイを使うことも考えながらとにかくひとまずロープウェイ乗り場まで行ってみました。すると、そこには自動販売機がありました。 温かい缶コーヒーをまず買って、それから下り用のお茶を買いました。ロープウェイは自転車ごと乗せてもらえるかどうかが不明で、訊くのも面倒なのでもう良 いかと思いまた懲りずに行きとは違うへんろ道に行きました。天気がさらに悪くなりそうだったのとあのおじさんがまたへんろ道なら戻らず効率的というような ことをいっていたような気がしたのです。それにここからは下りだし押して行くにしてもラクだろうと思ったのです。そうこうしているうちに霧が深くなってき てけっこう視界も悪くなってきました。







 この道が実はヒドかったのです。下りでラクなどころか飛び飛びに丸太が横に埋めてあって間の抜けた階段状になっているのです。ブロックタイヤのMTBな ら乗って下りることも出来るでしょうが荷物を積んだモリ君ではムリ。タイヤを28Cにしておいてまだ幸運だったと思いました。自転車を曳きながらパンクし ないかヒヤヒヤしましたもの。しかし、長い。行きと同じようにすぐに車道に出るものと思っていたら全然。5km以上このようなおへんろ道がつづきました。 自転車がなく歩きだけであればまだラクなのに、自転車が逆に足かせとなってしまいました。そのうちに雨も降り出してきました。はっきり言って試練以外の何 ものでもりません。ただまあ装備も食料も揃っているのでいざとなったらどこでも寝られると思うと幾分気がラクではありました。もちろん日の暮れるような時 間ではありませんでしたけど。

 本当に長い下りでしたがやっと車道に出られました。出口で表示を見ると「単車・自転車は進入禁止」となっていました。へんろ道保護のためだそうです。入り口にもあったのでしょうかね。道の真ん中をゆっくり押して進みましたので傷めていないと思います。ごめんなさい。

 車道に出てからは雨がうっとうしかったけどそこそこのスピードで大興寺まで飛ばしました。おてらにうどん屋があれば入ろうと思いながらこぎましたがあり ませんでした。神恵寺、観音寺までの道がわかりづらくて少し迷いましたが二ついっぺんにお参りできるのは手っ取り早くてイイなんて不謹慎なことを思ってし まいました。というのもそろそろ時間が押してきているからです。

 天気も悪くなっているのでもう一日続けるか今晩帰るかの選択もしなければなりません。風が強すぎるのでテント泊が少し難しいかも知れません。いつもそん な必要がないのであんまり良いペグを持ってきていないのです。横から受ければ自転車も倒れそうなくらいの風です。しかし、本山寺の方向を向くと背中から風 が吹いているのです。これで決まりました。取りあえず本山寺まで行こうと。背中から強風を受けて速い速い。快調に飛ばして本山寺には余裕で到着しました。

 納経所では親切なおばあさんに、宿の心配をしていただきました。この時期ヒトは少ないけどやっていないところもあるから早めに宿を見つけた方がイイよと言われました。野宿というのは言い出せませんでした。やっぱり帰ろうと思い、最寄りの駅本山に行きました。

 急いで自転車を輪行袋に入れて待合室に入るとアナウンスがありましたが、どうもこの強風の為電車が停まっているようです。仕方がないのでとなりのうどん 屋さんに入ることにしました。いざとなればこの待合室で寝ればイイのです。野宿禁止と書いてありますが、電車がこないので仕方ないと許してもらえるでしょう。

 うどん屋さんによると、停まっているのは瀬戸大橋線で予讃線は動いているはずということ。それならアナウンス通りに高松からフェリーで本州に渡れば今日 中に尾道まで帰れるかもしれません。そう思い急いでうどんを食べました。ここはけっこう有名なお店のようで先日のドラマにも出ていたそうです。有名人の色 紙もたくさん飾ってありました。話によると本場の讃岐うどんで「手打ち」と書いてあっても本当に手打ちなのは三割程度とのこと。そうすると讃岐以外の東京 や大阪の讃岐うどんはほとんどが手打ちではないんでしょうね。

 18:13の予讃線に乗って高松に到着したのが19:28。改札を出たところでフェリーのキップをもらったけど、問題はフェリー乗り場がどこにあるかで す。訊くと真っ直ぐ歩いて5分くらいとのことですが、フェリーの文字のある看板は遙か彼方に見えます。1km以上あるでしょう? 自転車と荷物合計すると30kg以上あるのにこれを抱えてその距離はヒド過ぎます。大阪弁で言うとそんな殺生な。でも歩きましたとも。しかし当然43分発 のは乗り過ごして雪のちらつく中を外に並ばされました。結局20:14のに乗りましたが小一時間で着くということは21:32宇野発の岡山行きに乗れるか どうかビミョーなところ。クルマが先に下りるからそれを待ってさらにどれだけ歩くのか。宇野駅まで3分と書いてあるけどさっきの5分というのが大嘘だった のでまた1kmもあれば絶望的です。

 ということで、とりあえず船の上で自転車をもう一度組み立てて移動は転がすことにしました。到着後うまくクルマの後について船から出ることに成功。駅ま では確かに近かったけど担いでいくのにはやはりたいへんな距離でした。駅に着いてからまた輪行袋に収納してキップを買ってなんとか間に合いました。これに 乗らなければこの日のうちに尾道にたどり着けなかったようです。

 岡山で22:27発の三原行きに乗って23:41に尾道に着きました。自転車をまた組み立ててコインロッカーに荷物を入れて、寒い中を御調に向けて出発 しました。0時過ぎです。荷物がないのでラクなのですが寒い。段々山の中に入るに従って雪が降ってきました。コンビニでおでんを買って食べてからまたひた すら上ります。道路には雪は積もっていませんが人家の屋根や畑には積もっています。だんだんクルマもほとんど通らなくなってきました。そんな中をひたすら 走る。これはホントに試練だと思いました。自転車が軽いのはイイのですが全く装備はなしですから何があっても走るしかない、というのは不安なモノです。重 くても荷物を全部積んできた方が良かったのかも、という思いが頭の中をよぎりました。

 やっと、工事中で片側交互通行の個所に到着しました。ここからはもうそんなにないはず。少しくだりになり、ほどなく道の駅の表示が見えてきてホッとしま した。1時過ぎにやっと到着。クルマと自転車とはなぜこうまで違うのかと不思議に思いました。クルマで同じ道を逆に走るワケですが試練なんてコトバはまっ たく浮かんできません。外の寒さとも、夜道の不安さとも全く無縁の世界です。つい何分か前までいた世界とはまったく違うのです。

 尾道駅で荷物を回収して、大阪に向けて走り出しましたが、すぐに水泳選手に襲われて待避所のトラックの間にクルマを停めて寝ることにしました。外は氷点 下の世界でもクルマの中で寝袋に潜り込めばまったく快適で、2時間ほど熟睡して4時頃に目を覚ませば睡魔も去って行きとは違ってガラ空きの道を快調に飛ば して大阪に帰ってきました。  


 

 
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